鉈起し


詳しくは知らないが、どこかの山里では正月の仕事始めを鉈起しと言うらしい。
そこで、山の民の末裔としては古式に則り(^_^)鉈を振って今年の農始めとなった。

 庭にあった松の木を切り倒し、庭の築山を崩す。
ついに食い詰めて、庭で薩摩芋でも作るのか?
良い案ではあるが、戦中戦後では無い(^_^;

 今年は色々な薬草栽培を増やしたいのだが、先ずは育苗施設(そんな大袈裟な物ではないが)を拡充しなければならない
そこで築山を生産緑地へと再開拓するのだ(^_^)

 写真の鉈は少しオカシイと気付いた方は立派な刃物オタと認定(そんな危ないのに認定されたくないって?)
普通の鉈は刀剣の伝統を引いて樋=血抜きの溝があるのだが、これには妙な▲が連なっている
と、言うのも、この鉈はそんじょうそこらにある鉈とは鉈が違うのだ
銘?には薄く山とスキーの下にEVERNEWのロゴマークにSPORTS HATCHET とある。
昔は少し訳知りな山屋が一般登山道でないところから山に登ろうとする時は腰に鉈の1丁も下げて登った物だが、そんな岳人の為にエバニューは鉈を売っていた。

今年は荒き心を持って、未開の道を切り開くのだ
青年は荒野を目指し、爺は墓場を目指す?
良いではないか「吾等が行くところは戦場であり、そして墓場である」(山本宣治)

1昨年暮れに交通事故で入院して以来、昨年は1滴の酒も飲まなかったが、今年の正月から酒を飲み始めたのでいささか酔っている(^_^;

地黄粥


寒い中を僅かながら地黄を掘ってきました。
もう、すっかり廃れていますが、正月に地黄粥を食べると病気の元である邪気を払うと、これを食べる習慣があったのです。
平安時代には宮内省典薬寮で「供御薬」という宮中行事により、毎年旧暦11月1日、地黄煎を調達して供したそうですから、それが民間に伝わり、正月の地黄粥に変化したのかもしれませんね?
地黄粥の作り方は、普通の粥を作り、炊き上がった粥に生のジオウを刻んで入れ、少し蒸すだけです。これに好みに合わせて塩を入れるだけですから簡単です。
地黄には補血、強壮、止血、滋潤等の効果があり、漢方薬にも広く使われていますから、是非とも正月の地黄粥を復活させたいものです。

じゃ私も地黄粥を食べてみるか? と、お思いになっても、今の日本では生の地黄など、めったに手に入りません。
各地に地名として残っているように、昔は盛んに栽培されていましたが、今は殆ど栽培されていないのです。

どうしてか? 地黄に限らず、日本で生薬栽培が衰退した一番の理由が薬事法でしょう?
薬に指定されると生産者に販売の自由が無くなり、販売権を持つ製薬会社や薬屋、そして産地問屋に安く買い叩かれるので、他の利益率の高い作物に栽培を変えてしまうのです。
地黄は種では増やす事ができず、根から生える子根で繁殖させるので、一挙に増やす事ができません。種で保存する事ができないので、一度絶えると復活が難しいのですね。
今では極一部でしか栽培されていないので、増やそうとしても元になる苗を入手するのが難しいのです。
インターネットで検索すると、色々とヒットしますが、実際に苗を購入できるのはうちぐらいでしょう(^_^;

ちなみに、やんどころなき方々が召され、伏見稲荷の名物でもあったという「地黄煎」とは何ぞや?
これは、餅米の澱粉麦芽酵素で糖化して作った水飴に、地黄の煎汁を煉り込んだ物で、汁飴とか膠飴と呼ばれていました。
公的には書かれていませんが、民衆の間ではバイアグラ的機能を求めての需要が高かったようです?
もちろん、宮中に於ては、胃腸を整え、気血を増す薬として服用されたそうですよ(^_^)

さて、供御とくれば歴史が好きな人にはピンときますが、この地黄煎も献納と引き換えに典薬寮を本所として「地黄煎商売座」を作って地黄煎の販売独占権を得ます。
供御人によるこの座の販売人を「地黄煎売」と言いましたが、道々の輩でもありますね。戦国時代でガラリと変わりますが、流れは後の飴売り、そして近くは紙芝居屋となったわけです。
この辺りの話は先年亡くなった網野善彦氏の『蒙古襲来』小学館文庫 が面白いですよ。

話しが飛んでしまいましたが、地黄は別名をサオヒメ(佐保姫=春の女神)と呼ばれるように、花もそれなりに美しいので何とか広めたいものです。
せいぜい増殖に勤めますので、皆さんも次の正月には地黄粥を食べて邪気を払ってください(^_^)

皆さん、良いお年を

トウキ定植


 今日の鈴鹿は風も無く比較的温かな日和でした。畑に出て、適当に整理をしておりました。
春に蒔いたトウキが大きくなったので、畑に植えなおし、苗の販売用に一部をポットへ鉢上げです。
トウキは漢方薬として多用されていますが、北海道に自生していたホッカイヨロイグサとトウキを交配して寒さに強いホッカイトウキを作り出し、北見地方を中心に北海道で大量に栽培されて、国内需要をほぼ国産で賄う数少ない薬草の一つです。

 一般的な栽培トウキは奈良と和歌山の県境に近い、奈良県五條市大深地区で栽培方法や加工方が確立されて全国に広まったので、大深トウキと呼ばれており、うちで育てているトウキも奈良の薬種商さんから種を入手した大深トウキです。
四物湯、当帰芍薬散、当帰建中湯、補中益気湯、紫雲膏、当帰湯などの漢方剤に使われていますが、民間の家庭薬として単体では貧血・強壮・月経不順・浄血・鎮静・冷え症・便秘などに効果があるとされています。
根は薬指定ですが、葉は食品に分類されているので、料理方法の工夫などで葉の活用が期待されています。ヨーロッパトウキは「アンジェリカ」という名前で、お茶や料理に重用されていますからね。
 葉の利用は浴用剤として使われていますが、鎮静・冷え性・ しもやけ・婦人病に効果があるとの事です。

 栽培は比較的簡単で、1年目は苗場に種を蒔いて、薄く土を掛け、それを稲藁やモミガラで陽覆いをし、発芽したらそれを取り除きます。翌年の3月頃にい株間20〜25センチで定植。
それじゃ、オマエ定植が早すぎるだろうとの声もあるでしょうが、畑にも事情がありまして(^_^;

ツボクサ準備中


畑は呼んでいるが、寒くて専らヒッキーと化しており、農作業はたまにミニ・ビニールハウスに水遣りをするぐらいだ。
そのハウスの中で一番多く場所を占めているのが、今年から保温を始めたツボクサで、ハウスに取り込んで大よそ2週間になる。今のところ枯れはしないものの新芽発生は見られない。
恐らく地中に張ってある電熱線に電気を通して加温すれば生長するはずだが、電気代が勿体無いのでテストはパス(^_^)

 写真はハウス内のツボクサで、右と左が違う。右は今月始めに某所で採取してきた苗であり、左は我が家の庭に放置されてきた物を株分けした物である。
一番の大きな違いは葉柄の長さだろう。同じ屋外にあっても、自宅は風が当たらない所であり、一方は吹曝しであった。
どうやらツボクサは風の当たるところでは乾燥と寒さに耐えられるように地表に張り付き、しかも受光できるようにロゼット状で冬を越すが、風が無い所では姿は変わらないようである。
この事から、割りと低い温度でも施設栽培であれば通年出荷が可能であろうと推測される。そこで生長限界温度を知る必要があるのだが・・・勿体無いのでパス(^_^;
良く似た環境で育つ?同じセリ科のミツバを例にとると、最低限界が8度で適温が15〜20度、最高限界が25度とされている。
十数度でヒーターが効くハウスで栽培すれば年中、新鮮なツボクサを供給できるはずだ。元々が水を好む植物なので水耕栽培に向いているだろう。
水耕装置を自作してみようと、ヤフオクで中古のポンプに挑戦しているのだが、高くて落札できない。まあ、それより慣行栽培法の確立が先ではあるが。

 一番の問題は需要の喚起だろう。
ボケの防止になり、多くの化粧品に利用されているので(http://bihada-mania.jp/seibun/%E3%83%84%E3%83%9C%E3%82%AF%E3%82%B5%E3%82%A8%E3%82%AD%E3%82%B9
賢く美しくなりたい女性に食して貰いたいものだ。事実、食習慣のあるタイでは女性に非常に好まれていると言う。

宣伝をする為にもある程度の量が必要だが、ポットは400余で畑の地植は100株も無い。
級数的に増やす必要があり、引き篭っている場合ではないのだけれど(^_^;

ハーブ・薬草 自然ファーム

甘草収穫


今日は甘草の収穫、と言っても試験栽培程度だが(^_^)
直径10センチ、長さ1メートルのビニールパイプに砂、畑土、バーク堆肥を混ぜて詰め、それに苗を植え種まきからは2年間育てた。
太さは10数ミリだが、長さは1mのパイプから出ている。少し細いようだが、薬草なので大きければ良いと言う物でもなく、主成分のグリチルリチンの蓄積量が重要だ。
これも例に違わず、栽培資料が無い状態なので手探り栽培をしており、用土や肥料は適当である(^_^)

 甘草は味噌や醤油の甘味料として、また漢方薬の材料として大量に使われているが、原産地は乾燥地であり、採取には写真でも判る様に長い根を掘り起こすので環境破壊が問題になっており、中国では採取制限を強化し、輸出規制も行われている。
そこで、国内では色々な企業や団体が栽培研究に乗り出し、鹿島建設では甘草の水耕栽培システムを開発している。

 収穫した甘草は水で良く洗い、薄く切って乾燥する。それを粉末にする予定だが、スライスした乾燥甘草に湯を注げばそのまま甘草茶として飲用。

 午後からは来年の苗を得る為に根伏せを行う。
甘草根の写真は左下が頭になるのだが、そこでモサモサしているのは根ではなく匍匐茎、ストロンであり、本来は横に広がるものなのだが、筒なのでそれができずにグルグルと浅い所でとぐろを巻くように伸びている。
これを10センチ程に切り、プランターバーミキュライトを入れて、そこに伏せこんでおくと春には芽を出してくれる。
甘草は非常に発芽率が悪いので、挿し木や根伏せなどの栄養繁殖が確実だ。
長い蘭鉢に同じ苗を植えて育てて比べてみたが、パイプ栽培とは全く成長率が違って小い。たぶん地表で育てた方が成長は良いだろうが、1m以上も大地を掘下げる元気は無いのでテストはしなかった(^_^;

冬至芽


川畑1号で辛うじて生き残ったツボクサを引き抜き、ポットに植えた跡地に、ツボクサ用として準備してあったビニールトンネルを被せる。
中には川畑2号からステビアを引き抜いて植えた。当地ではステビア多年草のはずなのだが、鈴鹿下ろしがまともに吹き付ける所は越年が難しいようなので、トンネルで保温するのだ。
保温する事で発芽を早め、できれば5月には挿し芽をして一挙に作付けを増やしたいと考えている。
移植に際して種を大量に採取したが、ステビアの種は発芽率が悪い上に、人間と同じく一緒の親から生まれても出来の良し悪しがあり、それも大きく育ってからでないと判らないときている。そんなわけでステビアの繁殖は良品のクーロンで行うのが一般的である。

 山中伸弥教授と一緒にノーベル生理学・医学賞を受賞した、ケンブリッジ大学のジョン B. ガードン博士は、いったん特定の組織として分化した細胞にも身体中の細胞に分化する能力をもっていることをカエルの実験で示したそうだから、将来的には人間もクーロンが出来るのじゃないかい?
そうすると、バカ息子やバカ娘に悩まなくてすみそうだぞ(^_^)
 問題は染色体の末端にあり染色体を保護するテロメアだな、これの長さが細胞の分裂回数を制限しているから、クーロンは長生きできないと言う説があるぞ?
クーロン短命説で有名なのはソメイヨシノだろう? ソメイヨシノは全てクーロンなので、他の桜より寿命が短いと言う説があるが、定かではない(^_^;
 
 なんぞとバカな事を考えながら植え替え作業をしていて、ステビの根元をよく見ると小さな芽を出しているではないか! ステビアは菊科なので冬至芽が出来ているのだろう?
菊と同じと考えると、これが伸びてきたら1月下旬頃に一旦切れば春には沢山の芽が出てきて、5月頃には挿し芽に丁度良い材料が揃いそうだ。
そんなにうまい具合に行くかって? ステビアだけに甘い汁は吸えるハズ(^_^)

頭に効くか?


露地植えをしたが鈴鹿下ろしで干からびたツボクサにビニールの覆いを被せた。途中で、如何に寒かったとは言え損亡率が高過ぎるので、もっと湿気のある畑でないと難しいのではないかと判断し、僅かに残った苗を穿り出す。
一晩水に漬けてからポットへ植え直し、春までハウスで保温して生き残った苗を別の畑に植える事とした。苗が少ないので僅かな可能性にも賭けるしかない。
既にビニールトンネルを被せた所はそのままとし、栽培の適地を探るテストにするのだ。
このトンネルは温かくなったらビニールを外し、太陽の光が強くなったら代わりに寒冷紗を被せようと思っている。これは前回にも書いたが、石垣島でツボクサを栽培して見える、もだま工房の彦田さんより助言を頂いた。
セリ科仲間の三つ葉も真夏には遮光をする栽培方法があるので、同じように軟化栽培をすれば良いのだろう。

 問題は苦労して栽培をしても、果たして我が頭の老化を防止する効果があるかどうか?
まあ、インド3000年の歴史を信じるしかない(^_^;
 
 この脳の老化防止にサプリを用いている事で微笑ましい話を見つけた事がある。
私は数学者と言うよりエッセイストとして有名な藤原正彦の本を何冊か読んでいる。別に好きな訳ではない、と言うより彼の右翼思想は嫌いだ(^_^)
ところが、古書店が好きな私は、行くと小説など105円の本を10冊購入すると決めており、数が揃わない時に時々105円で並んでいる彼の本を籠の中に放り込む。
彼の本は大宣伝で良く売れるが、すぐに売られて古本屋に並ぶ程度の品格なので、山登りに勤しんだ頃に父親の新田次郎の本にはお世話になった義理から(^_^)、暇つぶしに読むのだが、そんな彼の本の中に、彼が数学者として頭の退化防止する為にイチョウのサプリを飲んでいると書いてあった。

 イチョウの葉にはフラボノイドやギンコライドという物質が含まれ、このフラボノイドには血管拡張作用、動脈硬化の予防、鎮痙作用等多彩な働きがあるのだが、血管拡張作用では毛細血管の血行を良くするために認知症(ボケ)に効果があると言われている。
それじゃ、散って道に落ちているイチョウの葉を集めれば良いのか?と言うと、若葉に多く含まれるらしい。それにイチョウの葉には「ギンコール酸」という人によってはアレルギー反応を起こす可能性ある成分が含まれているので、ギンコール酸が除去されている物を購入した方が良いだろう。

 もっと手軽に自宅で育てられて、ボケ防止になる物は無いかと問われると、これは前に富山大の研究で僅かに触れた石菖ではないだろうか。
昔から物忘れに良いと言われており、清流に多く生えている菖蒲を小さくしたような植物だが、庭に植えても結構育つので下草には少し背が高いけれどグランドカバーにして庭の一角を埋め尽くす位に栽培して利用すると良いかもしれない?

話があちこち飛んだが、こういう類の物は飲んだからと言ってすぐに効く物ではないだろうが、続けて利用していれば聞いた例が多かったので、歴史によって選別されてきたと言う事ではないだろうか?
信じるものは救われる(^_^;