鍛冶屋


 刃物好きのアブナイ爺さんだが、田舎暮らしで何かをしようとすると刃物のお世話になるものである。
しかし、残念だが三重県ではもう刃物を打つ鍛冶屋さんは無いようだ? 以前、熊野にいらっしゃると何かで読んだが、すくなくとも中北勢地区には無い。
我が亀山にも関町に、数年前まで刃物を打つてみえた鍛冶屋さんが居たのだが廃業された。知人がそこの手斧を持っていたので見せてもらったが、鋼は割込みではなく付鋼であったので、刃物鍛冶と言うわけでなく何でも作る鍛冶屋さんだったのだろう? 
5〜6年前に1万5000円程したそうで、知人は良く切れると自慢をしていた。

その関の鍛冶屋さんがやめられたので、残るは阿下喜の鍛冶屋、仙松かじやさんだけだろう。
ここは、員弁地区に残る学校跡や鉄道施設などの、いなべまちかど博物館(http://www.city.inabe.mie.jp/machikado/area_5_s.html)の一つになっており、、予約をすれば仕事振りを見せて貰える所だ。
写真はそこで購入した備中鍬と唐鍬だ。3年前に別々に購入したが、唐鍬が8千数百円、備中はそれより少し安かった記憶がある。
ホームセンターに行くと中国製が半値で売っているので商売は辛いと思われる。「中国製は全鋼やで、悪うなったらしまいやけど、うちのは地鉄に鋼が付けてあるので、鋼を換えたら一生使える」と自慢をしてみえたが、もう鋼を鍛接してくれる鍛冶屋がそこしかなく本人もお年寄りである(^_^)

一番良く売れるのが、写真にもある唐鍬だそうで、私は耕作放棄をされて荒れている畑を開墾する為に購入したが、今では専らタケノコ堀用として買われているとの事。川下の桑名はタケノコの産地なので、修繕用の唐鍬が何本も置かれていた。
ホームセンターではもう少し鍬先が短くて軽い唐鍬が売られているようだが、タケノコを掘るには長くなくてはいけない。これで鍬の長さが31センチだが、京都で使われる1mもあるホリには負ける(^_^)

刃付けをする鍛冶屋さんが無いので、津や松阪からも修理に持ち込まれるとの事。それなりに仕事はあるようなので、若い鍛冶屋さんが育って欲しい。

ポット苗整理


今日は午後よりポットに入っている薬草苗の植え替えと株分け。夏の暑さに負けて枯れてしまったのが多く、日陰と散水の整備が求められる。
写真は今日の使った刃物道具。これを2丁拳銃よろしく腰に下げ、剪定鋏で徒長枝を切って姿を整え、株を鉈で押切って分ける。

 鋏は京鍛冶のカネブン、成瀬農機具(株)の伊吹刈です。
京都は名園を管理する庭師が多く、華道の家元も多いので、鋏鍛冶も有名なところがいくつも有る。庭師には京の名園を見学したあとで安重刃物や菊一文字大隅刃物など、有名な店で気にいった道具を買って帰る人も多いと言う。

 ミニ剣鉈は竹割鉈の先を尖らせた物(^_^;
従前は山菜ナイフを使用していましたが、切れが悪いので安い5寸の竹割鉈をホームセンターで購入し、グラインダーで形を整へて研石で仕上げました。鞘は自作、吊革は東急ハンズで購入。
剣鉈だと高いのですが、安い竹割鉈なので気兼ねなく穴を掘れるし、元々が鉈なので藪漕ぎにも使へて山菜採りにはよい。特に活躍するのが山芋堀の時で、ジャマな蔓や枝を払い、尖った先でヘラの様に芋の周りの土を落としたりする。

 そう言えば、ここ何年も山芋堀に行ってない。畑で栽培するようになると、あの苦労からは逃げてしまうのだ。
山芋はムカゴや切芋から増やす栄養繁殖の為に、ウイルスに伝染しやすいので、時々は雑種化していない深山の芋を掘ってきて母体にしなくてはいけないのだが、ついついサボってしまう。
そろそろ山の芋のシーズンを迎へ、道の駅や農産品直売所にも並ぶ頃だが、山の芋は見栄えがよい太い物より細長い方が粘り気があると言う。山の自然条件では5年程かかるが、畑で栽培すると切芋で1年、ムカゴからだと2年で掘られるのだから、やはり天然の方が有難味が有るようだ。

 耕作放棄地にムカゴを蒔いて置き、山芋堀体験をさせるのはどうだろう? 自分が嫌がっているのに金を払ってまでする人はいないか?
季節的には山の芋と茸、そして蕎麦を組み合わせて山村体験民宿なんて良いだろうな? 秋だけかよーの突っ込みは梨ね(^_^)

フェイジョア


 すっかり寒くなりましたね。そんな中で南米原産のフェイジョアの実が大きくなってきました。
グアバと同じフトモモ科なのでグァバに似た花を咲かせ、パイナップルのような香りがします。そんな事から別名でパイナップルグァバと呼ばれ、味はバナナと洋梨を混ぜたような感じかな?
日本には昭和の初期に花を観賞するためにアメリカから入ってきたそうですが、普及していませんねえ。恐らく、種で育てると先祖返りをし、挿し木をしても発根率がとても悪いからではないでしょうか?
原産地は南米ですが、主な生産地はロシアとニュージランドなので、キウイに続いてニュージランドから輸入されていますが、キウイのようには流行らず、実も輸入されていますが販売されているの見ませんね。
実が卵程と小さいのが流行らない原因の一つでしょうか?

 これでワインを造っている所もありますが、日本で産地と呼ばれる程の集積は無いようなので、地域おこしには良いかもしれません。問題は苗の値段が高い事だと思いますが、個人的に挿し木を試したところでは、確率は低いが発根はするので、工夫をすれば歩留まりを上げられる事でしょう。
ただし、収穫は落果したものを拾って、追熟させなければならないのでフェイジョア狩が出来無いのが辛いでしょうね。

 常緑で成長もそれ程早くないので、ニュージランドでは生垣によく使われているとか、耐寒温度はマイナス10度とトロピカルフルーツにしては寒い所でも育ちますから、1本如何でしょうか?
ただし、1本では実をつけない種類があるので、苗を購入する際は品種名など、詳しく説明を受けないといけません。

 我が家の庭にはクーリッジ、マンモス、アポロの3種類が植わっており、今年は主木のクーリッジが成り年のようで、鈴なりに実をつけています。
ニュージランドでは実を乾燥させてフェイジョアティーにするそうだが、スライスして乾燥させれば良いのだろうか? 挑戦してみたい。

                   鈴鹿山麓 自然生村

ヤーコン


薩摩芋を掘ったついでに少し早いがヤーコンも試験で掘ってみた。
ヤーコン栽培には力を入れており、アンデスの雪、サラダオカメ、在来種、そして今日掘ってきた種類不明の物だ。
掘った結果は少し小さい。ヤーコンは結構肥料食いなので、少しばかり肥料が不足だったかもしれない。
鈴鹿では11月中頃が良いと思うが、九州から購入した物なので、早生種なのか既に筋割れが入っており、形も紡錘形ではなく丸くなるタイプのようだ。

ヤーコンはダイエット効果や糖尿病、動脈硬化の予防、体内の酸化防止など、身体にとても良い機能野菜で、一般的に**に効くと言われる物はすぐに効果は出ないので途中でやめる人が多いのだが、このヤーコンの便秘に対する効果は目に見えて現れる。
我が家でも、その効果を実感した便秘気味の女房殿から強い要請があって栽培が続けられている。

各地で地域おこしの野菜として栽培されており、焼酎やビールに各種の加工品も作られているが、にぎにぎしい割には今ひとつ消費が盛り上がっていない感じがする。
ダイエット効果があり、便秘にも良いのは間違いない。そこでズバリ、美人野菜!として各産地が統一キャンペーンをしてはどうだろう。
誇大広告だって? そこであの有名なコピーの再登場「美しい人はより美しく、そうでない方もそれなりに」なる芋ですと(^_^;

ハーブ・薬草 鈴鹿山麓 自然生村

キノコ


家の西裏に転がしておいたまま忘れていたコナラの木に椎茸が出来ていた。
何れも手を広げた程の大きさで、大きくなり過ぎている。
我が家でもこれ程大きくなっているのだから、山に行けば色々なキノコが取れる事だろう。

 キノコ好きの人のブログを読んでみると、我が家からそれ程遠くない所に取りにきてみえている。
それでは山に行かねばと思うのだが、残念ながら食べられるキノコか毒キノコかの判別が出来無いのだ。
山近くに住みながら、これが判らないと言う事は、楽しみを自ら捨てているような物だとは思うが、今更悔いてもしょうが無い。
きのこ取り名人はキノコ目という特別な能力があるそうだが、取り合へず山に入って眼力を鍛へねばなるまい。

 当地でも松茸はめったに見られないものの、少しはあがっていた。
死んだ兄貴が結構取ってきていたのだが「松茸のあがる場所は親兄弟にも教えるな」と言われるように、場所を聞いても詳しくは教えてくれない(^_^)
10程前だが、大まかな場所は聞いていたので、行くと道から少し外れた場所で1本だけ見つけた事がある。翌年行ったら見つけられなかったので、それ以来行ってない。
今年は行ってみるかな。

      鈴鹿山麓 自然生村

また一人


 図書館へ行ったら、カウンターの横に「鈴鹿市出身の作家、太田蘭三氏死去」と小さな張り紙がしてあり、横に26日新聞記事の切り抜きが貼り付けてあった。
氏の小説を始めて読んだのは、山岳雑誌『山と渓谷』に連載されていた「脱獄山脈」だが、山が好きなのと、地元出身と言う事で、それ以降はけっこう読んでいる。
 
 肩の凝らない山岳推理小説で、読みきりの文庫本が多く、山好きや渓流釣りが好きな人には読者も多い事だろう。
氏は鈴峰中学から津高校、中央大学を出て建設会社を自営された後、小説家になられたはずである。小説の類は殆ど処分したので残念ながら1冊も手元に残っていない。
初期の小説の中では、地元がイニシャルで出てきたりして、知っている者を笑わさせてくれた。
鈴鹿市図書館には氏のコーナーがあったが、逝去された事に伴い何らかの催しが計画されている事だろう?
さっそく図書館で1冊借りてきた。いつものように北多摩署の蟹沢、相馬刑事が活躍するものの、老人たちが主人公で少し毛色が違い、氏の小説では多分唯一だと思うが、映画化された「死に花」だ

 何れにせよ、昨春にチョモランマで亡くなられた尾崎隆氏に続き、地元出身で山に関係のある人が亡くなられたのは淋しい。
写真は、氏の渓流釣りの原点であったろう御幣川が安楽川(手前)に落ち合う所から、氏の故郷である旧鈴峰村方面を望む
享年83歳 合掌

ゴシュユ


僅かな売り上げであるが薬草苗をネットで販売をしている。
近頃気付いたのだが、蝶の餌に薬草苗を買って頂いているお客様がチラホラあると言う事だ。クララ、エビスグサ、セイヨウバクチノキ、ゴシュユなどで、蝶好きの人なら何を飼っている人の注文だと判るようだが、門外漢の当方にとっては全く判らない。

セイヨウバクチノキとゴシュユが品切れになったのだが、お客様よりゴシュユが売れるから育てろと、蝶の餌が売買されている所まで教えてくれた。
さっそく見てみると、ブナの山取り苗が10本1000円、クララが5000円!その他カラスザンショウやキハダ等だ。山に行けば生えている草木も、しかるべき販路に乗せればお金になるのである。

四国の上勝町を舞台にした葉っぱビジネスの映画『人生、いろどり』(http://movie.walkerplus.com/mv49844/)が各地で上映されているようだが、これを知ったのは4,5年前の『現代農業』だった。雑誌ではその他の例として伊豆大島?の桜餅用の桜の葉や奈良の柿の葉寿司用の柿の葉が紹介されていたように思う。
山には宝が埋まっている。掘り出すのに秘密の地図や特別な道具はいらないが、アイデアと熱意は必要なようだ。

さて、我がゴシュユ。中国原産で享保の頃に小石川薬草園に導入されたのが始まりで、株分けされて全国各地に広まったが、雌雄異株なのに来たのは雌株だけだったので、日本で目にするゴシュユは雌ばかりで発芽能力のある種はできない。
増やすにはヒコバエを待つか、挿し木しかないのだがこの挿し木がけっこう難しい。密閉挿で挑戦したが、時期的に遅かったのかカルス形成までだった。
今年から独立行政法人 医薬基盤研究所 薬用植物資源研究センター種子島研究部で栄養繁殖の研究を始めるそうだが、間に合わねー。
宝の山への道は遠い(^_^;