甘い風


畑に水遣りに行くと、ステビアが一斉に花を付けていた。
薬草栽培の本命をアシュワガンダに定め、その苦さを和らげる為に、甘茶や甘草、羅漢果等の甘み成分を持つ薬草を栽培してこれが一番と辿り付いたのがステビアである。
 このステビアの大量繁殖は少しやっかいだ。
種を蒔いても発芽率が非常に悪いうえに、せっかく発芽しても甘い種から甘いのが生まれるとは限らず、苦い奴が出てくる。
そこでクーロン=挿し芽で増やす事になるが、葉の出揃った6月、7月に季節が限られて量産が難しい。
成長温度は20度ぐらいなので、秋でもやれそうに思うのだが、花芽が出来る頃になると発根しないのだ。
日照時間が短くなると繁殖の力が花に向かって根が出てこないのだそうである。

 詳しくは、愛媛県農業試験所が1973年から75年に行った「四国地域におけるステビアの栽培に関する研究」を検索して読んでもらいたい。
何回かに渡ってステビアに関する研究発表が成されており、栽培には非常に役に立つている。
愛媛県農業試験所ばかりでなく、薬草については各地の農業試験所や林業試験所の研究発表が助かっており、古い研究発表も写真複写のPDF形式で公表されるようになったのが嬉しい。

 前に、日照時間が短くなると季節性の欝になる人があると書いたが、動物でも日照時間に強く反応するのがいる。
身近で顕著なのは猫だろう。猫の雌は日照時間が短くなると性欲を無くして妊娠しなくなると言う。一方の雄猫は年中やる気満々でいつでもOKなのは人間と一緒だ。
日照時間が延びてくると逆に植物も動物も一斉に生殖へ目覚めるが、人間もこの名残は有るようで、五月病として形を変えて現れるとか。
植物ホルモンと動物ホルモンは全く違う成分だが、働きは似ていて、日照時間で性スイッチのオンオフ機能があるらしい。

 人の日照不足はビタミンD不足につながり、秋の憂い=冬季うつ病に関係しているようだが、他にも高血圧や癌、歯周病、末梢動脈疾患その他の病気に掛かり易くなるそうだ。
キーボードを捨てよ 街に出よう! 恋のスイッチが入るかもしれない?

 今日の百姓一句
ステビアに 吹くは甘きか 秋の風

         薬草・ハーブ 鈴鹿山麓 自然生村