甘草


 尖閣諸島を巡って、日中間が騒がしいが、前回の漁船衝突の際は、中国がレアアースを禁輸して、産業界が苦労した事を思い起こす。
実は、日中間にはレアアースだけでなく、レア プラント、いわゆる希少植物、特に漢方薬原料の生産や出荷を規制する動きが徐々に出てきている。
取分け危惧されているのは、前に紹介した麻黄や、今回書かせてもらう甘草。
 甘草はマメ科多年草で根や走根(ストロン)に利用主成分のグリチルリチンを含み、漢方薬の約7割に利用されるだけでなく、実は輸入量の7割は醤油や味噌の味付けや化粧品に利用される。

 乾燥地で生き抜くために水を求めて根を深く下ろすのだが、採取するには当然に深くて大きな穴を掘るために、周りの植物を全滅させて土地の砂漠化を早めるのだそうだ。
 中国における採取規制の動きを受けて、日本では殆ど壊滅した甘草の生産を試み始めた所がいくつか出てきた。特に鹿島建設水耕栽培や(http://www.kajima.co.jp/news/press/201010/28e1-j.htm三菱樹脂の取り組み(http://innoplex.org/archives/5523)が知られている。

 我が自然生村だって負けじと2年前から取り組んでいるのだ(^0^)
日本での露地栽培の試みは、収穫を考慮して殆ど写真のようにパイプ栽培で行われている。
うちでは径10センチ長さ4mの塩ビパイプを1mと80センチに切った物を使っているが、どうせ地中に根は届くのだから、もう少し短くしてもよいだろう? パイプ代がバカにならない(^_^)
 
 用土はどこも秘密にしており、定説は無い。大きくするだけでなく有用成分をより多く含有させるために研究に鎬を削っている事だろう。
趣味でやるのなら市販のプランター用土で十分だが、あまりフワフワした土はパイプ内の沈降が激しいので注意を要する。
 乾燥地に生えているからと言って、パイプの土を乾燥させすぎると枯れるので適時給水は必要だが、遣りすぎると根腐れを起し、発芽率がとても悪いので、種から育てる場合は多めに購入する事を進める。また、発芽しても水を遣りすぎるとすぐに根腐れを起す厄介者。

 繁殖には一般的にはストロンの根伏せで増やすが、節培養で比較的簡単に組織培養ができるそうで、四国のバイオネットさんからms培地や試験管に成長が良いからと赤や青の発光ダイオードまで頂いているので、台所培養を始めなければいけないのだが・・来年の春にはヤル(^_^)
 
 それにしても台風の影響か、甘草の揺れが激しい。パイプの切り口に摺れて茎が切れないかと心配。

 今日の百姓一句
草揺れて 野分け気に病む 畑帰り

                 鈴鹿山麓 自然生村